嘘つきに感謝

父の遺品整理をしていたら、疎遠になった妹への手紙と母への手紙が出て来た。
それは出したのかどうかわからないけど、
妹へは「子供である君を愛している。愛せる子供を持てた事が幸せである。ありがとう。」
母へは「愛されるより愛する方が幸せである。あなたを愛しています。けれどあなたを幸せにしてあげられなくてごめんね」と。
父は2人から憎まれていても、父は2人を心の底から愛していたんだ。
ただ、伝え方が下手で伝わらなかった。
父の性格の為に伝わらなかった。
愛しても愛しても無駄に愛して苦しんだ。
愛される方はストーカーに毎日追われるような気持ちだったのか。
好きでもない人と親の圧力に負けて結婚した母。好きな人がいて、その人と結婚の約束もしていたのに。
結婚した父には借金があり、大切にされず、働かされ、騙されたと思った母。
父は母が欲しかったから、借金の事を言わずに結婚した。
2人ともその時点で間違っていると私は思う。
母は自分の人生を生きる勇気を持つべきだった。
父は自分を誇張せずに、きちんと誠実にいるべきだった。
2人共自分の責任と私から見れば思うけど、違うかのかな?わからない。
小さな自分への嘘、他人への嘘が、どんどん後戻り出来なくなってしまって、私が生まれた。
私は何で生まれたのだろう。
ただの動物的本能の賜物?
まっ、いいっか。
2人共苦しかったね。
嘘をつくしかなかったんだね。
どうしようもない事だってあるね。
そのお陰で私が生まれて来たんだから感謝だよ。辛い苦しい中で私を生んで育ててくれた。
2人共、大好きだよ。
今度生まれ変わったら、
失敗しないでね。
幸せになってね。
私は何故か生まれついて、楽しかった思い出ばっかり残る脳味噌持ってるみたいで、父と母の作る取り繕った普通の家族の幸せな風景が浮かぶよ。必死で子供に嘘ついてたんだね。
ありがとう。楽しかったよ。忘れないよ。