お父さんの骨

お父さんが私のマンションに来た。
骨になって来た。
「お前の家ですき焼き食べたい」
って言ってたけど、叶えてあげられなかった。
でも骨でもそこに居てくれるだけで
ちょっとさみしくなくなった。
毎日「おはよう」「ご飯をどうぞ」「行って来るね」いっぱい話しかける。
写真のお父さんは笑ってピースをしてる。
今まで死んだ人の骨は怖かった。
でもお父さんの骨は温かいし優しい。
焼かれて出て来た肩の骨に手で触ってみた。
頭の骨も指の骨も。まだ温かい。
そしてワンルームの部屋だから着替える時は恥ずかしいから「見ないでよ」
一緒にご飯食べられるね。「ビールだよ」
もしかして魂になったお父さん、上から私を見てる?
四十九日間、一緒に暮らせるね。
次の引っ越し先も見付けて来たよ。
お父さんのマンションの近くだよ。
2人の思い出いっぱいの場所だよ。