死と悲しみを抱きしめながら

父が亡くなってからもうすぐ一年になる。

最初は悲しくて悲しくて「何で死んじゃったの?」「もっと一緒に居たかった」と心の中で叫び続けていて、何を見ても死という悲しい現実と結びついてしまい涙と共に過ごしていた。

ある日書店で「悲しみの秘技」という本に出会った。「悲しみ」=「愛しみ」=「美しみ」という言葉が私を救ってくれた。

悲しみの深さは愛情がそれだけ深かったからなのだと。

何ヵ月か後、「死は存在しない」という本を見付けた。筆者は田坂広志さん。父がこの人の本を何冊か読んでいて私も薦められて読んでいたので、まだ父が生きていたら読みたかっただろうなと思って手に取った。内容を私が理解するしないは別として、「意識は永遠に残る」という考えだと父の意識は今も生きている、私の中にも生きていると思えるようになって、さみしさが和らいだ。

「漁港の肉子ちゃん」の「お婆ちゃんが「死んでも一緒にいるからな」って言わはったから大丈夫になった」ってフレーズが思い出される。父もきっと心の中でそう言ってくれたと思いたい。

星の王子さま」は自分の星から地球に来て蛇に噛まれて星に帰る。キツネが「飼い慣らすと別れる時に悲しくて困るけど、小麦畑の金色を見ると友達を思い出して幸せな気持ちになれるから得をしたんだ」と。

父と歩いた道や一緒に行ったカフェ、読んだ本、話した言葉や笑顔、それは今キラキラと光って明るく感じられるようになりました。

「本当に大切なものは眼には見えないんだ」