旅立つ

昨日の夜、父が亡くなった。
それまでにいっぱい泣いていたから、亡くなった時は何故か私の心はすっきりしていた。
ずっと早く死にたいって言ってた。
やっと死ねたね。
最後はしんどくなく死ねたね。
息してないかもの瞬間から、まだ心臓は小さく頑張っていて、身体も手もまだ暖かい。
手を繋いだままさよならした。
もっと一緒にいたかったよ。
なんで死んじゃったんだよ。
身体がポンコツになっちゃったんだね。
先週の火曜日は手を振ったら振り返してくれた。
先週までは、弱い声ででも電話してくれた。
使えないのに髭剃りや、入れ歯、タイマー、カレンダー、「持って来て」って言って。
「靴下買って来て」の靴下履いたのかなあ。
そして土曜日、話せなくなっても電話のボタンを押してくれた。
一昨々日はテレビ面会で首を「うん」とか「ううん」とかしてくれた。
おとといからはほぼ反応がなくなって、
「お父さん」と呼ぶと少し目を開けるけど、
見えていたのかどうか。
手を繋ぐ。
胸に手を当てて、私のパワーを送る。
「生きて、もう少し」
足をマッサージしてみる。
「血圧上がれ」
不整脈は不安から来るんだ。
「心配しなくていいからね」
「大丈夫やで」
5月19日。
私と同じ四緑木星、◎。
良い日だ。
新緑の綺麗な晴れた日だ。
ほととぎすが鳴く。
意識はもうないのかな。
夜寝られないって言って薬を飲んでたけど、
今日からは永遠に眠れるね。
私もいつかいつかと心配なく、ゆっくり寝られるよ。
一緒に寝よう。
私は今日目覚めたけどね。
楽しかった思い出がいっぱい。
次々と浮かんできて、
時々1人で笑えたりするよ。
楽しかったね。
よかったね。
私がいてよかったでしょ。
大好きなお父さん。
旅立つ。