もう会えなくても

栗ご飯を作った。

お母さんに食べて貰いたくて。

日曜祝日は母は通常どこへも出掛けない。

昼前に電話をした。

繋がらない。

メールはやらないから電話しか通信手段はない。

お風呂に入っている?

30分後、電話した。

繋がらない。

1時間後も、2時間後も、

心配になって10分置きに電話しても、

全く繋がらない。

いつもなら、見て電話してくるのに。

父の時を思い出した。

何回電話しても繋がらなかった日。

病院にいた父。

何で電話してくれないの?

不安で涙が出た。

その2週間後に父は亡くなった。

お母さん、大丈夫かな?

ひとりで死んでない?

倒れて動けないとか?

マンションの鍵は持っている。

何かあったらどこに連絡するか、

救急車を呼ぶか。

1駅電車に乗り、

道を急ぎ足で歩きながら何度も電話した。

覚悟した。

ピンポーン。

暫くしてごそごそ音が、

いる。

よかった。

「あれ、どうしたん?休み?」

「お母さん電話しても全然出ないから心配になって」

「出掛けてた。○○が来て泊まってて今送って行ったんや」

妹と甥っ子が急に来たと言った。

何で???

10月来られないって言ってたのに?

わたしにも一言、言って欲しかった。

それは必要ないんやな。

「まあ入り」

「帰るよ、また来る」

引き留められても、お菓子を持たせてくれようとしても、涙が出て無理だった。

小雨の中をまた歩いて帰る。

無事でよかった。

でも

わたしが思っているほど、妹も母もわたしのことは好きじゃないのかな。

父にそうしたように、

わたしは無視してもいい存在だったんだ。

父が亡くなって

母もいつかはと思って大切にしようと思っていた。

父の後始末はわたしが全部した

父の最後の時も

母も妹も来なかった。

そういう事か。

父は母も妹も愛していたとわたしには確信がある。

だけど伝わらず憎まれて

母は3年、妹は5年、

お葬式の時に再会する。

妹は今回は旅行らしい。

お父さんの初盆もお彼岸も

お墓参りもどうでもいいのだろうな。

わたしは母も妹も好きだけど、

片想いなんだね。

もういいや。

辛いから忘れよう。

母のことは妹にお願いしよう。

母の遺産があれば妹が貰えばいい。

全てお願いしよう。

鍵も返そう。

わたし間違っているかな?

お父さん教えていつもみたいに。

怒ってないけど、

悲しい

さみしい。

だからさよならしよう。

あきらめよう。

もう会えなくても

いいや。

それでいい。

もうわたしから連絡するのはやめようと

今日決めた。

これでいいのだ。