父と旅行

今日はお父さんと旅行だね。
仕事中に病院から電話がかかって来た。
「今から行きます」
近鉄電車が途中で事故で止まった。
途中駅で降りてJRまで知らない道を人に聞きながら歩いた。
最寄りの駅からタクシーはなさそう。
近道を駅員さんに聞いて、山道を歩く。
5月の新緑が美しい。
ほととぎすがなく。
道端に小さな可愛らしい花が咲いている。
お父さんに見せてあげたい。
山に囲まれた道は人は誰も歩いていない。
大丈夫なのかな。
ちょっとしたウオーキンクだね。
この道歩いてみたかったんだ。
病院につく。
お父さん見たら涙が溢れる。
手を握っても握り返せない。
話しかけても話せない。
お医者さんや看護師さんが父を起こそうと触って呼ぶけど「大丈夫、起こさないで❗️」
「しんどくさせないで❗️大丈夫です」
ただそこに同じ部屋にいるのが嬉しい。
病室のWi-Fiを繋いで、いつも父のマンションにいる時みたいにスマホでゲームしたり、調べ物したり。
窓の景色は山が見えて綺麗だね。
綺麗な病院でよかったね。
ずっと手を繋いでる。
制限時間30分で、一旦外に出て休憩して、また30分面会の繰り返し。
病院の外のベンチで今日、職場で食べるはずだったお弁当を食べる。
ピクニックだね。
向かいの食堂で焼き肉定食を食べた。
すごく美味しかった。
美味しいよ。
お父さん食べられないんだね。
従姉が来てくれた。
お父さんの病室で笑って喋った。
3人で昔話してるみたい。
すぐ近くの旅館に泊まる。
いつ連絡来るかわからない。
すぐそこにいるからね。
今日は2人で旅行だよ。
楽しいね。
いつもみたいにテレビ見て、
お父さんはそこで寝てるんだ。
いつもみたいに。
私が22歳の時、2人でアメリカへ行ったね。
その時は私が熱出して楽しくなかったね。
お父さんその時すごく頑張ってくれた。
今回は私頑張るよ。