少しずつ変わっていくね

お彼岸には少しだけ早いけれど、良いお天気だったので、お墓参りに行きました。花を買ってお供え物はいつもコンビニで買って一緒に飲んでいた安い赤ワインと、父が買い溜めしていたやっぱりコンビニの小さい羊羹。ロウソクに火を灯してお線香をあげる。

「来たよ。あっちでも元気にしてる?みんなと仲良くしてる?私はまだまだ生きるけど、もう少し頑張るけど、待っててね。いつか会う日まで。」父の事だからきっと周りの人に誰彼構わず大きな声で話しかけてワイワイやってるんだろうと思う。

今日は私以外にお墓参りに来ている人はいなかったのでゆっくりできた。

いつものように15分くらい歩いて父とよく行った焼き肉屋さんに行く。父とは日の暮れかけた道をゆっくり歩いて、または車椅子を押して、そして最後の方はタクシーで行っていたので店内の窓からは夜の景色が見えていたのだが、今日は明るいすごく明るい。

前に一度父と座った窓際の横並びの席。注文がタッチパネルに変わっていた。メニューも少し変わって値段も上がっている。父との時はお肉とチシャ菜とワインを食べたいだけ飲みたいだけ気が済むまで注文したが、ひとりなのでワインはパス、そこそこお肉とチシャ菜を食べて終了。父から「もっと頼んだら?まだ食えるやろ」「お前はやっぱりケチやな」と言われそうだ。会員カードはスマホのラインアプリになったんだよ。「何やこれわからん」ですよねw。

店を出てしばらく歩くと父が引っ越しして来た時に「お前の好きな〇〇のマークのがあるで」と指で上に高い山を2つ描いたっけ。マクドナルドがある。私とマクドナルドは父の中ではなんかくっついているらしい。よく食べてたしバイトもしてたしね。

道路は変わらずある、車椅子が引っ掛かって危うく渡りきれず誰かに助けて貰った段差も小さい思い出になってそこにある。

父の住んでいたマンションは新しく塗り替えられてオートロックになって自由に入れなくなっていた。自由に上がったり降りたり出来た外側の階段も鍵が掛けられている。すっかり変わったんだよ。

父が毎朝通ったカフェでコーヒーとケーキを食べる。何故って父はいつも私に「ケーキ食べたら?」って勧めてくれたから。2階に漫画が置いてあったのにカーブスに変わっていた。メニューも変わって美味しそうなパンケーキがあったけど、私は前に食べたチーズケーキがいい。大きな推し車を横に置いてそこに座って背中を丸めて新聞を読んでモーニングのコーヒーとパンを食べていた。オマケのクッキーが部屋に溜まっていて私がそれを食べていたんだ。

少しずつ変わっていくちょっとした事が時の流れを感じさせる。まだ2年もう2年。どこにいるの?私をずっと守ってくれた人。老いても、そして死んでからも私を守ろうとしてくれた人。鼻の奥がつんとして眼に溜まっていく涙が、息を苦しくさせると共に私を優しく温かく包んでくれる。