ひとり焼き肉

初めてのひとり焼き肉。

とりあえず敷居の低いランチから。

祝日の待合室は家族連れやカップルが待っていて、1人で待つ私は浮いてる感。

やっぱり帰ろうかな、いやいや、せっかく来たんだし。

気にしない気にしない。

15分程で窓際の明るい個室っぽい空間の席にあんないされた。

子供連れの家族のはしゃぐ声は賑やかだけど、それ以外はひとりで気にせずゆっくり出来る席だった。

ロースのランチを注文。

この店に来たのは8ヶ月前。

今はもういない父との最後の外食だった。

うちの家族はそんなに裕福ではなかったけど、よく焼き肉食べに行った。

ロースとチシャ菜と各自好きな飲み物を満足するまで食べて、ビビンバや食べたいと思うものは全て注文。デザートのアイスクリームも。お金の事は一切考えなくてよかったのは父と母の考え方のお陰?

貯蓄する気はなくて、今美味しい物食べる事が一番だった。

今思うとなんて幸せな事。

何にも残らなくていい。

美味しかった、楽しかった、思い出が残る。

財産は使えば失くなったりするけど、思い出はいくら思い出しても失くならない。

自分ひとりだとやっぱり値段を気にしてしまう。贅沢する勇気がない。

自分だけの為にお金を使うのは罪悪感を感じる。

ランチメニューはお肉と言うより、他の副菜と御飯でお腹一杯になる。

満腹感はあっても、いつものような満足感ではなかった。

父母は自分の子供には食べたいだけ食べさせたいと思ったんだろうな。

大好きな人と一緒に食べるのは最高の贅沢。

今日はひとりだけど、それでもひとりじゃない。

心の中の父と一緒に食べる。

次回のひとり焼き肉は、父と一緒に食べた感じで思い切りロースから注文してワインを飲みたい。

思い出と寂しさを酒の肴にして。