都合のいい脳

4人家族みんなで、懐かしい家にいる夢を何度も見る。

私はどんだけ家族が好きなんだ。

暗い家の中に帰りたくなくて、外で時間を潰した日々、会話を避けた日々、泣いて辛いと思っていたはずなのに、そんなことすっかり忘れて楽しかった事ばかり思い出す。

父も母も私には甘々だった。

父は本屋へ行くと「好きな本を選びなさい」コンビニへ行くと「欲しいものかごに入れなさい」と言って何でも買ってくれた。クリスマスにお菓子の入った大きな靴下を買って来てくれた。

母はいつも「お帰り、寒かったやろう」

と言って、ご飯を作って待っていてくれた。

私がいじめられて帰って来たら「あんたは強いんやからな負けたらあかん」と言ってくれた。

妹とひな祭りケーキを分けあって食べて、

風船で遊んだり、お話を読んだり。

みんなで旅行に行った事、焼き肉行った事、楽しくて暖かい家族だと信じていた子供の頃。

大人からしてみれば全部偽物だったかも知れないけど、子供の私にとっては一生の思い出。

幸せ脳に出来ている私はなぜか楽しかった事の方をよく覚えているみたいでありがたい。

私以外の家族3人がどう思おうと、4人で過ごした家族の思い出はいつも私を支え励ましてくれる。

「過去って言うと暗いけど、思い出って言うとなんか明るく聞こえるね」

時が流れれば、全部思い出に変わる。

大概の事は忘れられる。

優しい断片だけを残して。

私があんまり賢い頭でなくて本当によかったと思う。