「アバウト・タイム」感想

この映画の主人公は過去にだけタイムトラベル出来るという能力を持つ。

私達は人生のやり直しが出来ない。

「あの時こうしていればこんな事にならずに済んだのに、もっと上手く出来たはず、幸せになれたはず」という事が沢山ある。

この主人公は何度も過去に戻り、自分の失敗を立て直して恋人を作り、幸せな家族を得る。

過去に戻れる能力を持つ父親から、幸せの秘訣を教わる。それは普通の一日をもう一度タイムトラベルで繰り返す事。

そうすれば、その一日をもっと余裕を持って味わえる。

お昼にコンビニへ行ってレジを忙しなく済ませた場面は、二度目は笑顔の挨拶になり、コンビニ店員の女性の素敵な笑顔に気付く。

無表情のつまらない会議は少しの気の効いたジョークで同僚との絆を確かめられる。

寝室で「疲れたよ、おやすみ」と妻に言った夜も二度目は「最高の日だった」と言い愛を確かめる。

私にもそんな能力があればいいのにと思ったあとの場面で、主人公の父親はもうひとつの幸せになる秘訣を語る。

それは過去に戻らない事らしい。

私は毎日をただ機械のように過ごしてはいないだろうか。

今日行ったコンビニやカフェの店員さんの表情どころか、顔も男か女かさえ忘れるくらい見ていなかったじゃないか。

笑顔でありがとうと言えばよかった。

美味しかったの一言で幸せが生まれたかも知れないのに。

小さな幸せに気付かないまま日々を過ごしていないだろうか。

毎日自分の心配ばかりしてまわりの人への気遣いや優しさを忘れていないだろうか。

今日が未来からタイムトラベルしてやり直しに来た一日だと思って、丁寧に過ごす事なんだ。

人生は一度しかない。

普通の毎日の中に、自分で小さな幸せを見つけたり、作ったりするんだ。

友達や恋人、家族、親しい人やそんなに親しくなくても今日すれ違う人との思い出を人生に刻んで行きたい。

そんな気持ちになれた映画でした。