死ぬ間際に

「父危篤」

何年も会っていない妹にメールを入れる。

3年前に離婚した母に電話をする。

すぐに病院に飛んで来ると思っていた。

そして元の家族4人で「また焼き肉行こな」って言おうと思っていた。

最後に家族に見守られて父は旅立つはずだった。

ドラマのような感動的な場面を想像してた。

現実は…

「行けないから」

「わからないからお姉ちゃんに任せる」

だった。

あっさりとしたもんだ。

お葬式の日、

母はお父さんのおかげで妹に会えたと喜んでいた。

父はどう思っていたのだろう。

あきらめ。

やっぱりさみしかったんじゃないかと。

愛した妻や娘が死ぬ間際にさえ来てくれないなんて。

鬼かてめえら。

父が働いて食べさせてくれたんじゃないのか?

大学まで行かせてくれたんじゃないのか?

仕事で稼ぐのが趣味みたいなある意味真面目だった父。

変わってたけどそんなに言うほど悪者ではなかった。

賭けもしない。

女にも手は出さない。

何が不満だったのか?

性格の不一致とかあるかも知れないけど

父が働いたお金で生きて来られた事は絶対的な事実だし、それだけで感謝に価するのではないか。

彼女らは求めていた物を与えられなかった事を憎んでいるのか?

父からは母が不倫をしたと聞いた。

それでも離婚しなかった。

母の方が自分の非を父のせいにすり替えて来たのではないのかとさえ思う。

妹は母をかばうけど、本当の事は母からは聞けないだろう。

妹は母が可哀想と言うけれど…

私から見て妹は父に可愛がられて大切に育てられたと思う。

何かがおかしい。

もう戻れない。

死んだ人と仲直りは出来ないから。

残念としか言い様がない。

彼女らには彼女らの私にはわからない事情があるのだと思う事で気持ちを整理していたけど、やっぱりわからなすぎる。

これは理屈じゃないのだと

嫌いなもんは嫌いなんだってことなんだと思うけど

私は悲しすぎる。