すき焼き

最後にすき焼きが食べたいって言ってた父。
今度の土曜日に母、妹、そして父が可愛がっていた孫と私ですき焼きをする。
生きて元気な時に集まりたかった。
死んでから会っても話は出来ない。
死ぬ5年くらい前から「もうすぐ死ぬから会いたい」って電話を掛けていた父。
その電話を無視し続けた妹や母。
私には理解出来ない事情があるんやな、と考えるしかない。最後に父と焼き肉を食べに行ったのはまだ今年のお正月明けてすぐ。
「また家族で焼き肉行けたらいいのにな」
思いは届かなかった。
セピア色の写真。父の写真を私は鞄の奥に入れて行く。一緒に食べよう。昔のように仲良く食べよう。贅沢なお肉をいっぱい入れて、お腹いっぱいになるまで、いっぱいお話しながら、笑いながら。
生きて会えば多分また喧嘩になるけど、もうその心配もないね。
私達家族、いっぱい喧嘩したけど、最後はバラバラになったけど、私にとっては、それも含めて大切な思い出。
家族旅行はいっぱい行ったし、家族で御飯食べにも、家族で卓球も、海水浴も。
数え切れない思い出は、今、美しく輝いて見える。
家族ってやっぱりいいな。