お百度

身体の中にある悪い釘、心の中の辛い釘を抜いて下さい、お願いします。
くるくるお堂の回りを時計回りに、歳の数だけまわって、ひたすらお願いする。
もう自分に出来る事がない、それでも何かをしないと居られない。
「お父さんが元気になりますように」
数がわからなくならないように、歳の数の竹の棒を持って、一回まわる毎に置いていく。
落としそうな数の竹の棒の数が減る分、自分の心も軽くなっていく気がした。
父の為にお願いに来たのだけれど、自分が何より救われる。
自分の中にもいっぱいの釘があるんだろうか。
願いは叶うのか叶わないのかわからないけれど、信じるしかない。もしもの時も、宿命を信じるしかない。
出来る事を全部やりたい。
後悔したくないから。
そう、それは私のお願い事。
父はどう思っているのかはわからない。
「死にたい、死にたい」って言ってたからね。
私のエゴなお願い事。
この前、初めて「元気になって」って言ったら「元気になる」って言ってくれた。
嬉しかった。
本当かな、私の為の優しい嘘かな。