後脛骨筋腱機能不全症とバレエ、私の経験が誰かのお役に立てば

後脛骨筋腱機能不全症=成人性扁平足(PTTD)

5年前に足首専門外来で診断された病名

整形外科医はレントゲンと足の触診、壁に手を付いて片足立ちが出来るかどうかを見て病名を付けただけで、この足でバレエを踊るのはかなりなリスクです。治りませんと言われた。

10年前、レッスン終わりに何となく足首の内側くるぶし下辺りが痛くなって、整形外科へ行ったけれど、捻挫と診断され湿布と炎症止めをもらった。冷やしたり温めたりしても全く治る様子がなかった。

バレエはバーレッスンだけしてレッスン後は冷やして、足の為に整骨院を探して回った。どこへ行ってもどの整骨院の先生もまあ頑張って治してあげようとしてくれるのだけれど、一向に治らず一年以上が経過した。

バレエでどうしても外したくない舞台があった。「バヤデール影の王国」の場面でニキヤの役、右足の連続タンルベそして左足の連続タンルベが続くバリエーション。少し痛みはあるけれど何とか踊り切れるだろうと考えていた。本番のゲネプロが終わった後物凄く痛くなる。左足のトウで回れるベストポジションに立つと激痛。ロキソニンを何錠飲んでも全く効果なし。だけどもう後には引けなかった。コールドの人ソリストの人パートナーの男性ダンサー、代わりの人はいない。痛い所にあえて立つしかなかった。バレエを始めて以来経験したことのない激痛と共に踊り切った。ルベランスが終わりパートナーに手をとってもらいながら舞台袖まであと1mの所で左足がカクッと何かが外れてルルベで歩けなくなる。何かが切れた?

そして半年くらいのある日突然痛みが消えた。けれども左足軸でのピルエットが全く出来ない4番ポジションからプリエで反動を付けても回るどころか立ち上がる事始めてすら出来ない。怪我の前は左足軸でフェッテ32回も回れていたのに。何もわからずそれでも戻れるかも知れないとあきらめずいろいろな良いと言われる整骨院の先生を訪ねた。どこへ行っても後脛骨筋腱機能不全症という名称など出てこないし、「あなた心臓が悪い」とか「僕はそれを直ぐ治せるけど急に治したら駄目だから」とか訳のわからない事を言う先生もいた。整骨院はもう信じられなくなりそれからは全く行かなくなった。

いつか治るかもとバレエを続けた10年。左足はゆっくり動作でトウに立てないからプリエで反動を付けて無理矢理飛び乗る。降りる時も静かに降りられないけどそこは上手く誤魔化しながら、自分が出来る方法で出来る踊りを選んで踊り続ける。限界はあるけど、表現力と音の取り方で見せられる事を学んだ。

上手く使えないだけで痛みのない10年だったが、最近同じ箇所が痛み出したので、整形外科へ行ったら、オーバーユースと言われた。確かに舞台前で頑張ってたからなあ。超音波を後脛骨筋にあてるリハビリを始めた。少しずつは良くなるけどレーザー2分と超音波5分とかで治るのかなと疑問に思っていろいろ調べていたら、超音波でレントゲンに映らない靭帯や筋肉を撮して傷んだ箇所に超音波治療をするという整骨院があったので、外れを覚悟して行ってみた。

なんと、私の後脛骨筋は有るべき所に映らなかった。結果、切れてるか、萎縮してなくなったかという事らしい。私自身もその映像を健康な右足と比べながら見せてもらったので、それは確かなものと思える。整形外科医でもかなり後脛骨筋腱機能不全症に詳しい所でないと調べられないようだ。事実が分かってよかった。既に無いものを治療していた?痛いと思っているのは違う筋肉から繋がった関節か靭帯のようだ。

こうなったら筋肉を鍛えるしかないと少しぶっきらぼうな感じの整骨院の先生は言った。後脛骨筋の下にまだ2本他の腱があるし、靭帯切れててもそのまま競技しているアスリートもいるとか。なるほど。靭帯の移植とかも無いわけではなさそうだけどかなりリスクがありそうなので、私はその日から筋トレをする事にした。

ゴムで足首や指のトレーニング、体幹レーニングを毎日全部で30分くらい。少しずつ筋肉を増やす強くなると信じて。一週間でもよい感触がある。お腹と足が繋がる感覚。身体が起きていく感覚。一年後ドンキホーテ3幕のグランパドドゥを踊る事が目標です。今はとても無理そうな気分ですが、今迄、筋トレが嫌いだった私が一年続ける為にブログに書いて見ようと思いました。

一年後どこまで強くなれるか?ワクワクしながら淡々と筋トレをしよう。

また経過報告します。

読んで下さってありがとうございます。

ダンサーの皆さん、たかが捻挫と侮らないで下さい。くれぐれも無理矢理踊らないで下さい。私のように再起不能の足になります。大切にケアを怠らずトレーニングしてください。心から願いを込めて。