小さすぎる幸せ

「明日パパに会える❗️」心の中で言ったら
何だかわくわくした気持ちになった。

毎日毎日、誰かといると泣かないけれど、1人になると泣いている。
1人で泣く事で少し楽になる。

3日前まで電話で話せてた。
私が電話しても、しんどかったら無理させてしまうから、しんどくなかったら電話してなって言った。

パパはメールが出来ない。SMSを開く事も出来ない。鼻から「俺は出来ない」と言って、電話しか繋がらない。
それでも私はSMSに毎日言葉を送った。
「おはよう」「ありがとう」「大丈夫」
読んでくれなくても送った。
パパの携帯の青いランプがピカピカ光ったら
私に電話してくれる。

次の日の朝も言葉を送ったら
すぐ電話がかかって来た。
「もしもし」「もしもし」何回呼んでも答えがない。「あ~」「…」「あ~」何か言いたいのに声が出ないんだ。向こうで看護師さんが「外したらダメ」って言ってる。酸素マスクを外そうとしてる。駄目だよ。

次の日からSMSを送るのを止めた。
無理しないで欲しい。
生きる事優先して欲しい。

きのうからご飯を自力で食べられなくて、チューブで栄養を送っているらしい。
お医者さんが「二、三週間が山です。覚悟しておいて下さい」と言われてた通り、衰弱していってるのが見える。
薬で結核を治すはずが、副作用で肝臓が悪くなり、薬を使えない。心臓も弱っている。
どこにも出口がない。

明日の為に、色紙に手紙を書いた。
読んでくれるかな?読めるのかな?
明日私の事わかるかな?
きっと泣いてしまう。
だけど会いたい。

病院へのアクセスを調べてバスの時間を調べて、もしかの為に、ホテルに泊まる事も考えて、お金、携帯充電器、着替えも。
まるで遠足にでも行くみたいな気持ち。
もうどこにも幸せがないから、無理矢理幸せを見つけ出してるのか。
元気だった頃、パパのマンションに行く時よりわくわくするくらいだ。
前は幸せが有りすぎて気が付かなかった。
今は5分のテレビ面会が幸せだ。
パパがそこで生きているというだけで、
幸せを感じる。
神様、もう少し、もう少しだけ時間を下さい。
この世に一緒に生きている時間を下さい。