いつか今日みたいな日が来ることを知っていたから

お彼岸

今日から秋みたいな晴れ

「お父さんの入っているお墓へ行くよ」

写真に声をかけて家を出る

お父さんに会えそうな気がしてワクワク

危篤の知らせで頭をぶつけた例のカーブミラーをちょんと押してみた

いつも飲んでたコンビニのワインとおはぎ

秋らしいススキ、りんどうがアレンジされた花

2500円もして地味だけどとっても可愛い

まるでお誕生日パーティーでもするみたいだ

お墓に置いてくのがもったいないくらい

バスは1時間に一本しかないけど京阪バス一択

なぜかって

コロナのとき2時間かけて歩いて行った道を通るから

たった4年前が懐かしい

「来たよ、元気?私を見ててね、いつか私もそっちへ行くから待っててね、ありがとう、ありがとう、ありがとう」

ここに骨が入ってるんだなあ

いつものカフェまでの道

父がお世話になった歯医者さん、一緒に行った焼き肉屋さん、そしてお葬式代をおろした銀行のATM…

住んでたマンションの螺旋階段は父が6階から下まで降りて来て一階のお好み焼き屋さんのおばちゃんが「びっくりしたわ」って言ったよな

私が「歩く練習してっ」て言ったから…

いつものカフェで

父の白内障手術の待ち時間に食べた野菜カレーとコーヒー

本を読みながら寝そうになったので店を出て

父の見つけたケーキ屋さんでケーキを2つ買って帰る

会えなかった

知ってるけど

なにかの奇跡みたいな事が起こりそうな気がしてた

どうやっても会えない

触れない

話せない

あたりまえのことが

悲しくて

涙が溜まってくる

人間はなんで死ぬようになってるの

死ぬまでの3年くらいは週2回くらいのペースでご飯食べに行ったりマンションでお寿司とったりして飲みながらいっぱい喋ったね

おんなじ事

何回も何回も聞いても聞いても

飽きない

いつか今日みたいな日が来ることを知っていたからかな