大切なショートメッセージ

わたしはお父さんに話しかける

携帯にショートメッセージを送る

赤のバツ印が付くけど気にしない

あたりまえだ

解約した電話番号だから

もちろん既読もつかない

そもそもお父さんの携帯には電話以外は繋がらない

メールを送ることも読むことも出来ない人

まだ薄暗い朝に何度も電話で起こされた

「もう死ぬから〇〇してくれ」

電話帳の欄を「詐欺師の〇〇」と書き換えたら

電話が鳴ってもちょっと笑えた

この世からお父さんがいなくなる1週間前から

ずっとメッセージ送っていたんだ

「元気になあれ」

「大好きだよ」

「また一緒にご飯」

多分読んでない

今もメッセージ送っても

読んでない

どっちみち読んでない

わたしの携帯の中にはお父さんがいる

いつでも話しかけられる

「お父さん、元気になるって言ってくれたよね。もう元気になった?」