巡るめく

朝ベランダに出ると向かいのお家の裏に赤い実を付ける南天の木が見える。

秋の空は澄んで、鱗雲や、線の様な雲、もっこりした綿菓子見たいな雲、どれも天いっぱいに広がる青色と白色のコントラストが美しくていつまでも見飽きない。

いつも通る道、桜の木の赤く染まった葉っぱが、その向こうからの太陽の光を通して20個くらいの電球が光っているように見える。

車窓からは赤、朱色、黄色、カーキ色、薄い緑や濃い緑、それぞれの木々が様々な色を映し出してくれる。

綺麗だな。

綺麗だな。

生きてるってこういう景色を楽しめるんだ。

身近な人の死によって、

生命をより強く感じるようになった。

悲しみが深くなればなるほど

世界が美しく見える。

父の死の以前にも美しい景色は沢山見ていたけれど、本当には見えていなかった。

こんなに美しい。

生きて自然と共存している私。

私も彼等の一部であって

巡るめく

夏に育ち秋に実り冬は我慢して春に生まれ変わる。