もう何十年も前に一緒に同居していた友人が好きで聴いていた曲をふと思い出した。その頃はカセットテープで聴いていた。
五輪真弓。
検索してみると「心の友」という歌が出てきた。聴くと懐かしいメロディと歌詞。
あの頃は何も思わずにただ良い曲だな~っていう程度だったが、今聴くと物凄く心に刺さる。
冒頭の「貴方から苦しみを奪えたその時、私にも生きて行く勇気が湧いてくる」
自分の苦しみや悲しみではなく目の前にいるその人の苦しみを奪いたいと思うってどんな人なのか。恥ずかしいけれど私はまだまだそんな気持ちになった事がない。大好きになった人にも私を好きになってもらいたいとか、私の気持ちを解ってもらいたいとかしか考えていなかった。
「貴方が弱い時、旅に疲れた時、ただ心の友と私を呼んで」
愛を求めるとかではなく、貴方が弱い時や疲れた時に私を呼んで下さいと言うのだ。自分の都合ではなくあくまでも相手のスタンスに立とうとする姿勢である。
そして自分の事を貴方の特別な恋人とかではなく、ただ心の友として呼んで下さいと言うのは凄く謙虚に思える。
「静かに瞼閉じて、心のドアを開き、私を掴んだら涙拭いて」は母親が赤ちゃんを無償の愛で抱きしめて安心させるように、大人の相手に対しても瞑想をするみたいにして落ち着かせ、そして貴方には私が居るから安心してと言う、子守唄を歌うのだ。
こんな女性になれたら、こんな女性であったら、もっと人を愛する事の本質が解っていたら、自分にとっては反省でしかなく、鼻を折られたような、自分って全然だなって愕然とした衝撃的な歌詞だった。
こんな理想の女性っているのかな?
こんな女性になれたら本当の幸せを掴めるのかな?
今まで私が本当に愛していたと思っていたのは、本当は自己愛でしかなかったのかな?
自分に子どもがいたらそんな気持ちになれたのかな?
恋人に限らず、家族や友人、知人に対してもこんな気持ちで生きて行けたら幸せかな?
生きて行く課題そのもののような気がする。
誰かの「心の友」になりたい。